土曜日の昼。

我々夫婦の休日は午前中いっぱい寝ていることが多いのだけど、その日は少し早めに目が覚めていたので、昼は外に何か食べに行こうということになりました。

せっかくの休日なので少し面白みのある、例えばビッフェとか?

今日はなんとなくカレーとか食べたいかも?それもナンとかそっち系の、

みたいな話の流れでGoogleで検索して出てきたのが

東区多の津にある、ユズフザイハラール。

特別感を求めるわりには、可能な限り安くすませたい私たちにとって、今どき約1,700円の食べ放題は非常に魅力的。

ということでナビをセットして東区へ向かってみます。

多の津には、新卒の頃働いていた印刷会社があって、よくその付近をうろうろしていたものだけど、もう何十年も前の話ですっかりよくわからない場所になっていました。

ナビに従って、道路の幅にしては人通りも車通りもない道に出ると、それらしき店を発見。

「あ、閉まってるね」

運転していた連れはそう言って店の前を通り過ぎます。

「いや、開いてるんじゃない?なんかちょっとシャッター開いてたし」

「そうかな、開くのは夜だけなんじゃない?」

「いや、ランチブッフェって書いてたしね。」

そんな会話をしながらもう一度一周ぐるっと回ってみることにします。

私自身は異国の辛い物や謎料理にも抵抗がない方なのですが、連れはわりと警戒心が強いので、この店構えを見た瞬間に離脱体勢に入ったと察しました。

が、私としてはどうしても気になったので、その場で電話して開いていることを確認。近くに車を停めて、いざ店へ向かいます。

入り口から店の中をのぞくと、もう一組お客さんが食事をしていました。

店主の方はあまり日本語は話せないようでしたが、ニコニコとした満面の笑顔で迎えてくれました。

店の中は、外観に負けず劣らず、現地感満載の雰囲気。パキスタンに行ったことはないけれど、壁の色や壁紙の柄、折りたためそうなテーブルやイスが絶妙にアジア圏の食堂っぽい。

席数は多くはなく、4人がけのテーブルが3つだけ。

棚にはたくさんのスパイスのような米のような袋が積んであります。

土曜日のランチはブッフェ一択で、窓際に数種類のカレーや煮込み料理と思われるものが並んでいました。

店主さんは特に何も言わないけれどニコニコ笑顔で、コカ・コーラの350ml缶を2つテーブルに置いて早々に厨房へ去っていきました。もう自由に始めていいよってことのようです。

ブッフェの料理を取るアルミプレートもアジアっぽい。
どこに何を盛るのが正解なのかわからないけれど、ビジュアル的にそれっぽいところに料理をのせていきます。

まず目に入ったのがなにやら白いおかゆのようなもの。何かは分からないけどまずはこれをプレートに注ぎ、次に黄色っぽいカレーのようなもの、次にチキンの煮込みのようなもの、最後に炊飯器からライスのようなものを器に盛って、別の炊飯器に入っていたナンも一枚もらいます。

最初に、謎の白いおかゆのようなものを食べてみた連れが「あま!」と声をあげ、「これはデザートだったかも」と言いました。

食べてみると、薄いヨーグルトのような、甘酒のようなそんな風味がします。

「これはもしかして、カレーの辛さを和らげるために混ぜるものなのでは?」

と解釈した私は、チキンやカレーに混ぜてみます。

なるほど、少し辛さがマイルドになり、味変にもなっていいかも。

「なんか、カンボジアを思い出すね。」

コロナよりもっとずっと前、夫婦でカンボジアに行ったことがありました。

カンボジアやベトナムの料理はハラールではないので、謎料理であっても日本人にも馴染む、いわゆる「旨味」のある料理です。

気になるのは生鮮系の鮮度や焼いてるものなら半分生じゃないかと言ったところだけで、料理そのものが口に合わないと言うことはないように思います。

対してハラールは、豚肉やアルコールはもちろん、調味料やスープに入っている肉系のエキスもハラールに対応したものである必要があるので、酒、みりん、コンソメなどの味に慣れている私たちには少し物足りなく感じるかもしれません。

ですが、ユズフザイハラールのカレーや煮込みはどれも美味しく、特にホロホロになるまで煮込まれたチキンカレーはたぶんみんな好き。

インドやタイのカレーではなく、モロッコの煮込み料理に近い気がしました。まさにハラールつながり。

一番辛かったのは、意外にも豆のカレー。

コーンスープのような顔をしながら、しっかりスパイシーで辛い。これはライスやナンに絡めて食べます。

ライスは「ビリヤニ」というそうで、スパイスで味付けした鶏肉と細長いお米を使って炊き込みご飯のようになってます。

細長くパラッとした「バスマティライス」を使っていて、一瞬米なのかパスタなのかわからない。昔、黄金伝説。の無人島生活で、よゐこが作っていた「ちねり米」っぽくもありますが、ユズフザイハラールのビリヤニは、これを目当てに訪れる人がいるほどの人気料理らしい。

後で調べたところ、ユズフザイハラールは、食べログのアジア・エスニックWEST百名店に2023・2024・2026と選ばれている名店。

さらに東区は、パキスタン料理をはじめ本格的な異国メシの店が点在するエリアになっていて、中でもユズフザイハラールはこのジャンルが好きな人にはめちゃくちゃ有名な店なんだそうです。

今日のブッフェに出てきたのは「チキンビリヤニ」でしたが、「マトンビリヤニ」もあるよう。

鶏肉とスパイスでしっかり味付けされているので、チキンビリヤニ単体でも美味しく食べられますが、カレーや煮込みに絡めて食べても美味しいです。

同じ細長い米といえばタイ料理などで出てくる「ジャスミンライス」がありますが、「バスマティライス」は初めての体験。

確かにこの米もビリヤニも、他の場所でなかなか食べる機会がなさそうです。

どの料理にもスパイスがふんだんに使われているせいか、意外と早く満腹に。

お会計して帰る時まで、店主さんはニコニコ応対してくれました。

ユズフザイハラールのランチブッフェ、休日にふさわしい異国の食文化体験になったと思います。

ちなみに、最初に連れが「これはデザートだったかも」と言った白いやつは、やはりデザートだったことが判明。

ヨーグルトベースのソースでビリヤニなどに絡めて食べる「ライタ」というものは別に存在するらしいけど、それは別に甘くないらしいので、今回出てきたのは「キール」という、ミルク系の甘いデザートだったもよう。

店を出た時は、しばらくカレーもスパイスもいらないな、と思ったのですが、なんと次の日既に、あの煮込み料理とビリヤニが食べたいと思っている自分に驚きました。

独特すぎて再現できない、なんだかクセになる、そんなパキスタン料理、恐るべしです。

あと、看板に書いてある「マララ・ユスフザイ故郷の味 ノーベル平和賞受賞」というのは、おそらく「ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイと同じ、パキスタン北西部ユスフザイの地域・文化圏の料理ですよ」という意味と思われます。

ここまで聞いてもまだよくわからないと思うので補足ですが、

マララ・ユスフザイというのは、女子教育を受ける権利を訴え、17歳でノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身の女性の名前。

なぜマララが多の津のカレー屋に——。

調べてみると、「ユスフザイ」はパキスタン北西部に暮らすパシュトゥーン系の氏族名。つまりこの店名も、マララの名字も、同じ「ユスフザイ」につながっている、ということらしいです。

柚須駅とは関係ありませんでした。

ユズフザイハラール

SHOP INFORMATION

ユズフザイハラール

住所〒813-0034 福岡県福岡市東区多の津1丁目13-8
営業時間11:00〜20:00
定休日不定休

本格的なパキスタン料理が楽しめるハラールレストラン。人気のビリヤニをはじめ、肉や豆をたっぷり使ったスパイス料理が並びます。週末・祝日はブッフェも開催。いつものランチとはちょっと違う、気軽な“異国メシ体験”ができるお店です。